エクスパンス感想文

海外ドラマ「エクスパンス」を1話ごとに物凄く詳しく解説するブログです

海外ドラマ「エクスパンス」シーズン1 第1話 "愛しのダルシネア" を物凄く詳しく解説する

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エクスパンス・シーズン1に登場する惑星・月。スケールは適当です。(惑星の絵:いらすとや)

The Expanse 「エクスパンス ー巨獣めざめるー」が Amazon Prime で配信されています。私は5年くらい前に原作にどハマりして、何回も読み返しまくってきました(全9巻予定中すでに8巻まで出版、日本語翻訳は1巻のみ)。宇宙での戦争や政治や社会問題や科学技術や地球外知的生命体などがテーマとして描かれており、科学的背景も緻密でキャラクターアークも素晴らしく、外国では数々の賞を得ています。

が!せっかく日本でもドラマシリーズが配信されているのに、日本での評判はそこまでは高くないことに気づきました。Amazon Prime 評価をみてもなんともいえない感じで、シーズン1は特にわかりにくいとの評判。はてなid:expanse だって誰も作っていなかったようでゲットしてしまった。

そこでネット上の日本語エクスパンス・コンテンツを増やすべくブログを立ち上げました。あとはとにかく愛を吐き出したい、自己満足でもいい。まずはシーズン1エピソード1から順番に書いていきます。

目次

※ 特に人名や地名や船名が全てカタカナだと極めて読みにくいので英語にしました。人名船名、色付けで区別。

 

第1話、ざっくりあらすじ

23世紀 人類は太陽系の惑星に移住
地球は国連 (U.N.) によって統治され 火星は独自の軍事体制を敷いていた
内惑星系 (Inner Planets) は小惑星帯 (Asteroid Belt) の資源に依存
ベルター (Belters) は宇宙で暮らし 働いて賃金を得る
Belt において 空気と水は 金よりも貴重だ

数十年間 地球・火星・Belt では 一触即発の緊張状態が続いており
戦争は勃発目前 どんなに小さな切欠でも

プロローグ:宇宙船の狭い部屋に閉じ込められた、Scopuli (スコピュライ)と書かれた宇宙服を着た Julie Mao (ジュリー・マオ)。泣けど喚けど誰も助けてくれない。無理矢理部屋をこじ開けてみると、人気のなくなった船内には血痕や戦闘の跡だらけ。エンジンルームからのSOSを見つけてそこを開けてみると、謎の青く光りうごめく生命体...? と、そこから胞子に侵されている人体の上半身のような何かが生えているのを発見...きゃあああ。

Ceres にて小惑星帯のハブとなる Ceres ステーション(日本語読み:ケレス、英語読み:セレス)。人類が最初に植民地化に成功した小惑星の一つで、地球(国連 = U.N.)が保有管理されている。自転速度を人工的に速めて遠心力による人工重力を作り出し、宇宙中から空気と水と食料を集めて人類が生きる環境を維持している。しかし水と空気という必須リソースが限られたこんな環境では、必然的に格差は拡大するーーBelter たちは奴隷のように扱われる労働環境と厳しい生活に喘いでいた。Ceres の Belter 街ではいつものように活動家が自らの地位向上を求めて改革・革命を訴える演説を繰り返している。そこには純粋な活動家もいるかもしれないが、過激なテロリストまがいの組織もある:Outer Plantes Alliance (OPA)。

Ceres で生まれ育ったモラル的にグレーゾーンな Belter 刑事・Miller (ミラー) は、地球の保有する警備会社 Star Helix に勤め、Ceres で起こる数々の事件やステーション内の警備を担当している。風俗店で殺人事件があれば、Belter の女の子に聞き込み調査。飲み屋で喧嘩をふっかけられたら気に入らんから逮捕。スラム街の空気フィルタ管理が正しく行われているか巡回視察も行わないといけないが、管理者のオッサンからはコッソリ賄賂をもらって視察を見逃してやる(どうせ上司も買収されている)。多くの犯罪には OPA が絡んでおり、それを取り締まるのも Miller の役目。でも Belter のために戦うという名目を掲げる「過激派(テロ?)組織 OPA」 を取り締まる「地球の警備会社の刑事」という立場もあり、Miller は他の Belter たちに裏切り者と呼ばれる始末。

ある日上司に Julie Mao という名の行方不明女性を探し出して親の元へ届けよという案件を任される。太陽系イチ裕福な女性が家出をして Belter 地位向上のために戦っている...?なんとなく心を動かされるMiller。なんてことを考えながら咳をする少女を見たときに、やっぱりあの空気フィルタのおっさんがけしからんと思い直す。奴を探し出してエアロックにぶち込んで真空拷問、ギリギリで解放してやる。Ceresに法は無い;刑事がいるだけ。

地球にて:国連 (UN) の影の実力者の一人である副次官・Chrisjen Avasarala (クリスジェン・アヴァサララ)。孫と戯れるの時に見せる優しい一面の裏には、拷問をしてでも平和を守ろうとする冷酷な姿もあった。捕まえたのは Belter の中の"テロ組織" OPA のエージェントだ。Belter たちの持っているはずのないステルス技術を運んでいるところを捕まえたらしく、その用途について問い詰めている。

土星の近くにて土星の輪っかの氷を捕まえて、小惑星 Ceres ステーションへの水を運ぶ輸送宇宙船 Canterbery (カンタベリー, Cant) 号。今も土星からの長距離航海の帰り道。こんな詰まらん仕事にはちょっとワケアリなひとたちばかりが集まっており、James (Jim) Holden (ジェームス・ホールデン)もその一人。いかにもやる気がなさそうに振舞っているが、たまたま探知してしまった近くの宇宙船 Scopuli から来た救難信号を無視できず、こっそりとフラグしてしまう。遭難者捜索をすることになった Holden と4人のクルー(Naomi, Amos, Alex, Shed)はちっこい移動船 Knight (ナイト) 号で Scopuli に近づいて乗り込んでみる。中は真っ暗、しかも外からこじ開けられたような謎の大きな穴があるだけ。すると突然どこからともなくステルス船が現れて、目の前で親船の Cant が核で破壊されてしまう。

(この場面からわかること:プロローグでJulieが閉じ込められていた船は Scopuli ではなさそうだ。服には Scopuliと書いてあったため彼女が元々はその船のクルーだということはわかるが、彼女が閉じ込められていた船の内装は、Holdenたちがみつけた Scopuliとは全然違う:血痕もないし、リアクターに謎の生命体もない。なぜ Julie は Scopuli に居ないのか?閉じ込められていた船はなんなのか?あの青く光るモノはなんなのか?エピソードが進んでいくうちに明らかになってくる。)

第1話のみどころ

まず何より、宇宙の雰囲気!無重力!第1話ということもあり、物語の展開には関係ないけれど、エクスパンスの世界観を紹介するため(だけ)に入れられたシーンがいくつも存在します。特にMiller視点には Belter の暮らしが盛りだくさん。これは Belt の舞台設定の紹介シーンであり物語の主題とは直接関係なかったりもするので、それが混乱の元になっているかもしれません。

宇宙都市での生活・文化(Miller視点)

エピソード前半で Belter 活動家が演説をして(視聴者に舞台背景を設定を説明してくれて)いる間に、ステーション内の映像がドローンを追いかけるように移しだされます。ステーションの外側が船着場、ちょっと内側に裕福なフロア、そのまた内側に Belter 街。Millerが風俗嬢の子に聞き込みするときにはウイスキーを注ぐ時にコリオリの力(スピン重力による横向きの力)がみれます。低重力による身体生理についても(翻訳エラーもあった、下記)。水や空気の環境設備。ベルターにとって水と空気は文字通り死活問題。

さらには、リソースの足りない社会で必然的に起こる超格差社会・人種差別。一部の超金持ちや権力者層は宇宙でいい思いをして暮らしていますが、その他のほとんどの人々は、今の想像をも絶するひどい環境で暮らしています。なのに労働者として搾取されている。そこで過激派組織ができています。私がエクスパンスを好きな理由の一つとして、社会問題、格差社会や政治問題が超リアルで複雑で面白いからです。宇宙スケール。

宇宙船の重力・無重力(Julie, Holden 視点)

最初のジュリーのシーンでは、彼女の髪の毛がふよふよするのとか、水滴が浮かぶのとかが、CGすごい。そして独房から出た Julie は Mag boots(磁石ブーツ)を ON にしています。無重力の中で船内を移動するときの SF 必須アイテム。足を離す時だけ、片足ずつ磁石が OFF になります。

次に、宇宙船による長期航海@CantCant の中でなぜ重力があるのか?加速してるから重力 thrust gravity があります、Cant が停止したときは無重力になっている。この具体的なエンジン技術は後からのエピソードでも登場します。そして宇宙の長期航海では閉所恐怖症を発症したりしてメンタルがやられる人がいる、という宇宙生活の描写も。土と草と戯れるおじさん。

さらには、Cant のFlip & Burn。方向転換して Scopuli に向かう時。普段は0.3-1g くらいの加速度で走っている Cant ですが (1g = 地球表面の重力)、急ぐ時は 2-3g? くらいに重力をあげて移動します。クルーが皆クラッシュカウチに座り、Cant が 180 度旋回して方向転換。そして「加速ドラッグ」が静脈に注射されています。これはいろんな薬が混ざったカクテルで、高重力による身体へのダメージを防ぐもの。確か、酔い止め薬の他に、血管が潰れないようにする薬やアンフェタミンやアドレナリンなどが入ってたはず。そのあと high-g burnで Scopuli のある場所へ移動してゆきます。

メインキャラクターの紹介と行動原理

Miller. 倫理的にちょっと問題のある刑事、賄賂を貰うのも Ceres で生きていくにはしょうがない。でも宇宙で一番を争うほどの金持ち娘・Julie Mao が Belters のために戦っていたと聞いて、ちょっと気持ちが変わってくる。フィルタ修理をしないおじさんをこらしめたりする。原作ではもっと「ピークをすぎたオジサン刑事」感が出ているが、ドラマ版はイマイチ表現しきれていないかもしれない。彼は数年前に離婚したのだが、ネットで見つけた元の脚本では、ドラマ版で Bar で Muss に会ったシーンはMussではなく元妻だったみたいだ。確かになんで Muss なんだろうとは思った。本来の脚本では Bar で元妻に話しかけてみたらウザイとあしらわれ、その後に近所の子供を見て(子供は居るのか聞かれ)「いない、機会に乗り遅れてね」と言い、失った自分の人生に思いを馳せ、そしてあのフィルターおじさんをエアロックにぶちこみに行ったのだった。そのほうが多少メイクセンスではある。

Holden. 上昇志向もやる気もないカッコツケ男、と、みせかけて、実はとてもピュアな正義感の持ち主?ただ Cant 内での字幕が足りなくて日本語では説明不足:船長からXOバッジを渡される時に、過去の話を聞かれた Holden は船長に同じ質問を返したところ「Cant みたいな船に乗ってる奴は皆んな隠したい過去がある」と言っている。Cant とはそういうクソ船なのである。ちなみにこの時点では原作本とかなり性格が違う。原作本では最初から思い込みの強すぎる一方的な正義感に溢れ子犬の目をした人懐っこい人物。でもドラマではおそらくキャラクターアークを作ろうとして「ちょっとヤサグレな Holden」が修羅場を経て「本来の馬鹿正直なが正義感溢れ仲間思いでピュアな性格を取り戻す」ところを描こうとしているのかな。シーズン1も後半になると本の性格と一致しはじめる。

Avasarala. 今回の登場場面は少ないが、優しいおばあちゃんと冷徹なリーダーの二面を持っていることがわかる。今後の描写に期待。ちなみに原作本では1巻には登場せず、2巻 Caliban's War からの登場になります、しかもこんなに冷徹な感じではないかも。シーズン1の Chrisjen の話は前半の多くがドラマオリジナルである。

第1話の登場人物

太字が物語に関係があるメイン人物。ファーストネームだけ、または名字だけしか出てこない人はそれしか書いていません。

  • Cant
    • James (Jim) Holden (ジェームス・ホールデン): 主人公の一人。Cant の臨時XO(eXecutive Officer, 副船長ポジション)。Earther。
    • Naomi Nagata (ナオミ): Cant 生き残り。Belter。優秀なエンジニア。
    • Amos Burton (エイモス): Cant 生き残り。Earther。マッチョなメカニック。Naomiのことをボスと呼ぶ。
    • Alex Kamal (アレックス): Cant 生き残り。Martian。パイロット。
    • Shed (シェド、下の名前): Cant 生き残り。Earther? メディック。
    • Ade (アデ): Cant のクルー、Holdenと寝てる。Earther.
    • Cant Captain: (名前忘れた)Cant の船長、やはりやる気が無い。救難信号を見たけどどうせ宇宙海賊だろうと無視せよと指示。
    • Cant XO: (名前忘れた)長期航海でメンタルがやられ、暴れたところを Holden に発見される。帰るまでずっと鎮静剤を打たれて縛られるハメに。この人のおかげでHoldenがXOに昇格。この役者どっかで見たことあるって思ったら Breaking Bad / Better Call Saul の Mike だった。
  • Ceres
    • Miller (ミラー、名字): 主人公の一人。警備会社StarHelixで働く刑事。Ceresで生まれ育ったBelter。
    • Havelock (ハブロック、名字): 最近 StarHelix で働き始めた Earther 男性刑事。Miller と組まされてCeres station のことを教わっている。
    • Muss (マス、名字): StarHelix で働くBelter 女性刑事。Miller の同僚で長年の付き合い。
    • Captain Shadid (シャディード、名字): Ceres の StarHelix のボス、Belter 女性。Millerの上司。Miller に Julie Mao 捜索(誘拐)案件を任せる。
    • フィルターのおじさん:第1話だけ?の登場。Ceresのスラム街の空気フィルタを綺麗に管理する人だが、Miller や他の刑事に賄賂を渡してズルをしている。
    • 風俗のBelterの女の子:ランダムな殺人事件の目撃者(事件自体は日常茶飯事、大事じゃない)。Millerと Havelock が聞き込み。Belter スラング(Belter 語は Creole と言って、英語の他に色んな言語が混ざっている。スペイン語 que sabes、中国語 dui、などなど。原作では5巻くらいで日本語もでてきた: ichiban, niban, shikata ga nai.
  • Earth
    • Chrisjen Avasarala (クリスジェン・アヴァサララ): インド人の偉いおばあちゃん。国連(=地球の宇宙外交政策を担う組織)の副次官。

第1話の翻訳エラー?

日本語字幕をつけてみたら結構間違いが多いです。意味が通じないところがいくつかあったので以下に指摘。あと一番ヘンなのは Naomi と Amos と Alex が Holden に対して敬語なところ・・・。(AmazonPrimeレビューによればシーズン3以降になるとさらに字幕が酷くなるらしい。ちょっと心配)

地下鉄での賄賂の受け渡し

Millerが地下鉄で空気フィルタ管理のオッサンから賄賂をもらうシーン。

降りなくていいぞ

喋ってた台詞: "No need to pay a visit, then"

このとき地下鉄は StarHelixの最寄駅に到着したところでMillerたちが降りていったのですが、「降りなくていいぞ」だとよく意味がわかりません。むしろここでは、Miller は賄賂をもらって、「なら俺は(空気フィルタの)確認に行かなくてもいいな」と言っています。ここから想像できるのは、このおじさんは恐らく超チープなエアフィルタを使ったり、古くなったものを交換しないでいたりして、お金を浮かせて儲けているのでしょう。賄賂を渡して刑事のチェックをすり抜けているわけです。 (ちなみにこれが credit = 電子マネー交換ではなく現金コインなのは、足(電子ログ)がつかないようにするためでしょう。)

字幕と吹替を担当した人は「(You have) no need to pay a visit (to StarHelix)」と捉えたのかと思いますが、むしろここでのMillerの意図は「(Then I have) no need to pay a visit (to check if the air filter is maintained properly)」のはず。 

骨密度増強薬

「背骨がうまく合わさらず一番上が飛び出てる。子供の頃栄養不足だったのさ孤児だったんだろ。変装でごまかしても俺と同じだ」

台詞 “This one, he has spurs at the top of his spine where the bones didn’t fuse right. He got the cheap bone density juice when he was a child. Probably a ward of the station. So even if he disguises himself, he’s just like me.”

太字部分が変。「子供の頃にチャチな骨密度増強薬を使われた証拠さどうせその辺の孤児院とかだろ。」の方が意味が正しいと思います。Cheap がポイント。

この場面では、Miller ヒョロノッポな Belter たちを指差ながら、なぜそのような身体になったのかをHavelockに解説しています。二世や三世の Belter は特に。エクスパンスの世界ではそういう身体はBelterの中でも底辺社会出身だと差別されています。上流階級や金持ちはもっと重力の高い環境で子供を育てたり、質の高い良い骨密度薬を使って、身体の成長に不具合が出ないようにしています。このノッポ Belter さんは、Miller の首の後ろにある出っ張りを指しながら、お前もどうせ底辺 Belter だろと言っているのです。(文脈的にも「栄養」はあまり関係が無い。ちなみに「変装」もちょっと変で服装の問題だけじゃない。)

ちなみに、人種について。原作本では Earther, Martian (=Inners) と Belters で身体の作りが全く違うため、見た目で見分けがつきます。Belterは大抵身長が2メートル以上あるのです(原作でも Millerは Holdenより30cmくらい身長が高いし、NaomiもHoldenより20 cm くらい高い)。ドラマ版ではその生理学の違いが表しきれてはいないですが、身体の骨格が作られる成長期に Belter だったかそうでないかによって、人種が固定されるのです。たとえば Amos は地球で育って10代後半で Belt に出てから二度と地球へ帰っていないけれど、彼が Belter になることはなく、ずっと Earther のまま。Julie Mao も OPA として活動をするけれど、やはり Earther です(本当は Luna 出身だが、Luna出身者は大抵 Earth で身体形成をしている)。Belterかそうでないかは、ほぼ固定された人種と捉えられるのでした。その代わり黒人・アジア人・白人などの人種差別はほぼ皆無になっています。

(ここの台詞は、このドラマシリーズの世界で Belter たちの身体が細ノッポじゃないことの説明・言い訳にもなっていると思います。ドラマで Belter 全員を細身・高身長にしたくてもキャスティングで問題が生じる。)

そこは土星です

Cant が土星の氷を捕まえて船に積んだあと、エンジンをかけて重力がかかるシーンがある(セックス中のアレ)。その後、パイロットの Alex が降りてきてみんなに言う言葉:

「ケレス・ステーションに到着!」

この間違いはひどい。氷を回収してたことからも明らかなように、ここは土星である。メンタルがいかれた副船長XOの部屋のモニタにも土星が写っているしその後も土星の氷が映るシーンがある。実際に Alex が喋った言葉:"Welcome to the rodeo! Ladies and Gentlemen, please sit back, relax and enjoy the ride. Ceres Station, here we come!"

むしろ「ケレス・ステーション、待ってろよ!」。土星から Ceres まで数ヶ月?の宇宙の旅が始まるということ。

ブリーチングチャージ

Scopuli に乗り込んだ Holden と Amosが謎の穴をみつけ、Amosが言った言葉。

爆弾をしかけられたんです

台詞 “It wasn’t a torpedo. A breaching charge did that.”

以下ようなニュアンスだと思います「これはトルピード(ミサイル)じゃねえ。直接ぶち破られてる」もしくは「乗り込まれてる」「突入されてる」?。ここでのポイントは、遠隔攻撃ではなく、直接壁が壊されて、乗り込まれているということです。遠隔攻撃が常識である宇宙船同士の戦いで、壁が直接破壊されて突入されるのは滅多にあることじゃないので、なんかこの船やべーぞ、となるわけです。「爆弾をしかけられた」は正確ではないし、しかももっとも重要な「直接壊されて、乗り込まれた」感が出ていません。

ちなみにエピソード最後でステルス船から Cant に発射されたのがトルピードです。字幕ではミサイルになってましたが(意味はほぼ同じだと思われる)。

(ちなみに宇宙船の兵器は主に三種類:長距離のトルピード Torpedo, 中距離のレールガン Railgun, 短距離のPoint Defence Cannon (PDC)。トルピードは燃料やコンピュータも搭載されているから遠隔操作で燃料が切れるまで飛行軌道をコントロールすることができます。つまり人間ではなく弾頭だけが乗っている宇宙船のようなもの。トルピードを避けるには話中にもあったように小惑星などの障害物を使ったりしてかわす方法があります。一方で、レールガンは宇宙戦闘機の外側に直接つけたコイルを使って電磁力でタングステン弾丸を加速、発射するもの。一旦発射された弾丸はただの石であり後から軌道が変えられないから、遠くにある宇宙船は平気で避けられます。だから避けられない距離にある短〜中距離に良いかも。さいごに、PDCは、普通の銃のようなもので連続射撃が可能。船の近くにある障害物や兵器を撃ち落としたり、もし近距離戦闘になった場合に使えます。詳しすぎた)

第1話のまとめ

作り込みがすごい。特にCeres の街の描写と Belter の感じが好きだ。宇宙の無重力や重力の映像がすばらしい。こういう世界に住みたい。

第1話のまとめとしては:目の前で自分たちの船 Cant と仲間たちがステルス船に核爆撃された Holden と4人のクルー。何がおこった?一体誰が?なんのために?

Ceres では Miller がそれなりに事件を解決したりしなかったり賄賂を受け取ったり気まぐれに正義感を出してみたりしながら、Julie の案件を追いかける。この金持ちの若い女性はなぜ裕福な暮らしをして Belt でレジスタンスになど参加したんだ?プロローグでジュリーに何が起きた?

地球ではUNが Belt のテロ組織 OPA がステルス技術保持の疑いで拷問のような取り調べを行う。Cantを攻撃したステルス機と OPA に関係があるのか?それともハメられているのは彼らなのか?

この辺を念頭に2話に進むと面白いと思います。